▼ 朝のダイニング、学君と路夫君がご飯をたべながら話しをしています。
路夫「もうすぐ修学旅行でしょ?」
学 「そうだよ」
路夫「いいなぁ。友達と旅行なんて」
学 「遊びに行く訳じゃないよ。課題があって班に分かれて色々調べなきゃならないんだから。」
路夫「色々って?」
学 「その場所の歴史とか文化とか偉人とか。自分たちでテーマを決めてするのさ」
路夫「でも好きな人とチームになれるんでしょ?」
学 「違うよ、テーマごとにリーダーを決めて、後のメンバーはどのリーダーと班になるか決めるんだ。」
路夫「ふーん。でさ、お兄ちゃんは何にしたの?」
学 「僕は、その土地の偉人を調べるリーダーになった。」
路夫「偉人かぁ。メンバー集まりにくそうなテーマだなぁ」
学 「それがそうでも無くて班は六、七人に決まっているのに、僕の所に二十人も集っちゃってさ」
路夫「えー。すごいじゃない。どうして?」
学 「各班は自由行動で、乗り物からルート、調査するところの交渉まで全部自分たちでしなきゃならないんだ。先生が言うには、別に偉人に興味がある訳じゃなくて、僕は学級委員長だし、みんなの面倒もよく見るからだろうって。いっしょにいたら大丈夫って思うからじゃないかって。」
路夫「何かわかる気がする。僕もこの間、お兄ちゃんと遠くへお使いに行った時、お兄ちゃんについていったら大丈夫って思ったもん。安心感ハンパないもの。」
論子「何の話?」
路夫「お兄ちゃんが、みんなから信頼されてるって話だよ。」
論子「そうね、学は考えや行動が一貫しているし、えこひいきとかしないから。一緒にいて安心だものね。ところで学、とりあえず私たちの老後もお願いね。」
学 「えー。僕まだ中学二年生だよ。」
論子「とりあえず、よ。」
さてこんな時、論語では何ていうでしょうか
政を為すに德を以てすれば、
譬えば北辰其の所に居りて衆星之に共うが如し。
《伊與田先生 訳》
先師が言われた。
仁の心から発する恕の政治を行えば、たとえば、北極星が真北に在って動かずに多くの星がそれに向かってくるように、その徳を慕って集まってくるものだ
《解説》
遠足や班学習の時、誰といっしょになりたいですか?仲よしのお友達?もちろんそれも楽しくていいと思います。
昔、まだ磁石やしっかりした地図が無い頃、(もちろんGPSなんてありません)遠くへ出かける時は歩いて行くか、馬に乗ったりしていました。
歩いているんだから何日もかかる。昼はお日様が出ているから方向がわかるけど、夜は暗くて何も見えないよね。でも、空を見上げると一年中同じところにあって動かない星があります。それが『北極星』真北にあって絶対に動かないからそれを目印にして歩けば、今どの方角に向いているかわかって、夜でも迷わずに進めたんだよ。
何かをいっしょにする時、この『北極星』のように、変らずに信じられる人をリーダーに選ぶと安心だよね。その見分け方は、考え方や行動が自分勝手ではなく、正しく、思いやりの心がある人です。sそしてきっとそんな人の周りには自然と人が集っているものです。