夕ご飯の食卓、久ぶりにお父さんも早く帰宅して、家族そろっての食事です。

 

論子「今日はびっくりしたわ。学校から路夫がけがをして病院に運ばれたって電話があったのよ。」

路夫「おおげさなんだよ。ちょっと捻挫しただけなのにさ。」

貢 「体育の時間にけがしたのかい?」

論子「それがあきれちゃうのよ。ほら校庭にビワの木があるでしょ。あれに登ってビワを手に持ったら降りられなくなって、飛び降りたんですって。」

貢 「ははは。路夫らしいな。」

論子「笑い事じゃないわよ。もし頭とか打ったら大変な事になる所だったんだから。」

路夫「大丈夫!僕、運動神経はいいんだから。心配しすぎだよ。」

里子「路夫、それは違うわよ。お母さんはいつだってあなた方三人が無事学校から帰って来るまで心配して待っているんだよ。」

貢 「そうだぞー。たとえ少し算数が出来なくても、元気でいてくれればと思っているんだぞ。なぁお母さん。」

路夫「なんだよー。それー。」

里子「ところで貢、この頃少し仕事のしすぎじゃないのかい?今日だってみんなでご飯を食べるのは半月ぶりくらいじでしょう?」

論子「そうなんですよ。日曜日もなんだかんだと忙しいみたいで。」

貢 「まぁ分っちゃいるんだけど仕事だしね。」

里子「仕事、仕事って。体を壊したら元もこもないだろう?」

論子「そうよ。路夫の事言ってる場合じゃないわ。お母さん、いつもあなたが帰る時間まで起きてらっしゃるのよ。」

貢 「おやおや。路夫の事からとんだ事になったな。」

  「今後は気を付けるんだぞ。路夫」

里子「あなたもだよ。貢」

貢 「はいはい。わかりました。せめて一週間に一回位は晩御飯に間に合うようにします。」

さて、こんな時、論語では何て言うでしょうか?

 

父母は唯、其の疾を之れ憂う。

 仮名論語14ページ  為政第二

 

 

解説

 毎日元気に遊んだりしていると、ついついやり過ぎてしまって怪我をしたり、無理をして病気になった経験はありませんか?

 そんな時、お父さんやお母さんはどんな気持ちだと思いますか?

 元気な時は『やんちゃ過ぎる』とか『もっと勉強しないとちゃんとした大人になれないよ』とか、色々な事を親は言ったりしてるけど、それは『元気な時』だからです。

 お父さん、お母さんが一番心配しているのは君が怪我をしないか、病気にならないか、辛い目にあったりしてないか、ということです。親は子どもの代わりになってあげられないけど、代われるものなら代わりたいと思っているのです。

 それは、いくつになっても同じです。大人になっても、そのご両親はやっぱり同じように子どもの事を心配しています。

 一番の親孝行は自分の体を傷つけない事。

病気や怪我をして心配かけないことなのです。