路夫君が友だちの『友則』君と庭で何かしています。よく見ると何かの苗を小さなケースに植え替えているようですが。

路夫「あーあ。大変なこと引き受けちゃったね。」

友則「そうだよ。路夫君がカッコつけて『僕たちでやります。』とか言っちゃうから。」

路夫「だってあの『どんぐり』がこんなにたくさん芽を出すなんて思ってなかったからさぁ。」

友則「でもすごいよね。路君のお祖父ちゃん、大切に頑張って育ててくれたんだね。」

路夫「これさぁ、クラスの人数分だけでいいじゃないの。みどりを育てる運動の植樹は一人一本でいいんでしょ。」

友則「残りはどうするの?」

路夫「うーん。こっそり裏山に置いてくる

ってのは?自分で大きくなるかもしれないし」

友則「えーぇ!」

こへ兄の学君が顔を出しました。

 

学 「頑張ってるね。お母さんがおやつにしなさいって呼んでるよ。」

路夫「助かったぁ。もう終りにするところだったんだ。」

学 「ん?終わりにするってまだずいぶん苗が残っているのに?」

路夫「もういいことにするんだ。とりあえずみんなの分は作ったし、もう疲れちゃったし。」

学 「路夫、路夫はどういう気持ちでこの仕事を引き受けて来たんだい?」

路夫「どうって。みんな話し合って、どんぐりを拾って、それを育てて、森が再生するお手伝いをするって事になって・・・。」

学 「そうだろう。その話を聞いて、お祖父ちゃんが苗を育てる箱を作ってくれてここまで大きくしてくれたんじゃないの?」

  「人のために何かをしようと心に決めたら真心からしなきゃいけないんだよ。それが仕事を引き受けると言う事なんだ。」

路夫「わかった。最初の気持ち忘れていたよ・・・。全部することにする。だけどお兄ちゃんも手伝ってくれる?」

学 「いいよ。いっしょにしよう」

路夫「でも、その前におやつ!!」

さて、こんな時、論語ではなんて言うでしょうか。

 

 

 人の為に謀りて忠ならざるか。

   (仮名論語P2 学而第一)

解説

 家の人や先生など人からお手伝いや仕事を頼まれる事あるよね。

 最初ははりきってやっていても、途中で面どうになってしまったり、はじめから適当に返事をしたりしていませんか?でも、もしそんなふうに自分がされたらどうですか?

人から頼まれたことや、話をする時は相手の人の事を考えて、真心ら

することが大切です。孔子のお弟子さんの曽子は一日に何度もそのことを反省して考えてみていました。

君もときどき『今の自分の行いは相手のことを本当に大切に思ってやったか』を考えてみるといいですね。