キッチンでおばあさんの里子さんと論子さんが何か楽しそうに話をしています。そこに末っ子の仁実ちゃんがあらわれました。

論子「お母さん、こっちもお願いできますか?」

里子「このゴマでごまだれを作ればいいのね?」

仁実「私も何かやりたい。お手伝いしていい?」

里子「じゃあ、このすり鉢を押さえておいてくれる?」

論子「お母さん、この味どうですか?お父さんにはちょっと塩が強いかも。」

里子「いい塩梅よ。(ちょうどいい)おいしいわ。」

論子「お母さん、この間の件ですけど、私どうしようか悩んでいるんです。」

里子「そうだねぇ。あなたの思った通りするのがいいと思うよ。」

論子「そう言えばお母さん・・」

仁実「おかしいの!お母さんったらさっきから『お母さん、お母さん』ってさ。」

論子「あら、そうだった?気が付かなかったわ。だってお母さんは何でもお出来になるし、まだまだ教えてもらいたい事がいっぱいあるから、ついね。」

仁実「まるで、先生みたいね。」

論子「そうね。家事の先生ね。人生の先生でもあるかな。お母さん、おばあちゃんのこと尊敬しているから。これからもよろしくお願いします。」

里子「おやおや、これじゃおちおちしてられないわね。せいぜい頑張らないと。」

仁実「おばあちゃん、仁実も教えてもらわなくちゃならないから長生きしてね。」

里子「はいはい。じゃあ目標は百歳!ね。」

さて、こんな時論語では何ていうでしょうか。

啓せずんば何を以て別かたんや 

          為政第二 

 

 

解説

お家でおじいさん、おばあさんと一緒に暮らしていますか?それとも別々なお家かな。

 お父さんお母さんは、おじいさん、おばあさんを大切にされていますか?

 では『大切にする』ってどんな事でしょう。

おじいさん、おばあさんたちの部屋があって、そこにはテレビやエアコンが完備していて、毎回ご飯を作ってあげてるから大事にしている方なんじゃない?。高級な老人ホームに入っているから幸せでしょ?と思っていませんか。

 それでは、犬や猫をかわいがる事とあんまりかわらないよね。

 おじいさん、おばあさんは一生懸命生きて、お父さんやお母さんを育てて、働いて今のこの幸せな社会を作ってくれた人たちです。いっぱい色々な経験をして、知識もたくさん持っておられます。それを歳を取った事で物忘れが多くなったり、動きがゆっくりになった事くらいで、もう大した事が出来ないと思うのは間違いです。歳を取っても人の値はかわりません。大切にすると言うのは『大人の人』としてちゃんと接すること。それは尊敬するという事です。