路夫君のおじいさん真一さんは、もと木工職人です。今は引退しましたが、それでも時々古いお馴染みさんに頼まれて仕事をすることがあります。
路夫「何してるの?」
真一「路夫か。おじいちゃん、今日仕事したから、使った道具の手入れをしてたんだ。見るかい?」
路夫「うん。」「わあ。すごくたくさんの道具があるねぇ。」「これはなんていう道具?」
真一「ノミだよ。ほかにもたくさんあるだろう。」
路夫「今日こんなにたくさんの道具をつかったの?」
真一「いや、今日はこの二割くらいだけだな」
路夫「え?それなのになんでこんなに出して手入れしているの?」
真一「そうだな。わしら職人はこの場所に一日中座って、このノミでご飯を食べて、お父さんや叔父さん達を育ててきたんだ。」
「仕事を下さる人が満足してくれて始めてお金がもらえる。」「だからいつでも良い仕事が出来るように道具は常に手入れしておくんだよ。」
真一「路夫は大きくなったら何になるんだい?」
路夫「まだ決めていない。」「でも、おじいちゃんやお父さんのように仕事を一生懸命する人になりたい。」「それから人を助けられる人になりたい。」
真一「そうか。」「路夫はまだまだいろいろな事をたくさん勉強して、体も心も磨く事が大切だな。」
路夫「心も磨く?」
真一「そうだよ。人を助けられる人になるためには良いものをたくさん見て、良い話をたくさん聞いて、良い本をたくさん読んでな。」
路夫「ところでおじいちゃん。僕、欲しい本があるんだけど」
真一「なんだ。路夫が仕事場に来るなんて珍しいと思ったんだ。その本は心の栄養になるのかい?」
路夫「いや・・どうかな・・。なる・・と思うけど・・。」
さてこんな時、論語では何ていうでしょうか。
百工肆に居て以てその事を成す。
君子、學びて以てその道を致す。
〈伊與田先生訳〉 仮名論語294ページ
職人たちは、自分の仕事場にいてその仕事を完成するものだ。
解説
おとなの人が仕事をしている所をゆっくり見た事がありますか?働いてお金をもらうということは大変なことです。
そのためにはその仕事の事をよく勉強して、使う道具があればいつでも使えるようにしておかなければだめだよね。仕事が来てから準備していたのでは間に合わないし、手入れをしていない道具では良い仕事はできないからね。
学校ではさまざまなことを習うでしょ?
算数や国語や体育、音楽。教室には何人のクラスメイトがいるのかな。中には算数が得意な子や歌がとっても上手なお友達もいて、すごいなぁと思ったりしない?