新しい学期が始まったある日、路夫君が家に帰ってきました。でも、いつもの元気な声が聞こえません。
路夫「ただいまぁ」
論子「お帰りなさい。いつもの元気はどうしたの?」
路夫「ちょっと元気出ない事があってさ。」
論子「学校で何かあったの?」
路夫「今日さ、新しい学級委員長を決める選挙があったんだ。」
論子「新学期だものね。それで?」
路夫「それで、僕の名前も出たんだけど、十票以上離されて、選ばれなかったの」
論子「それで誰が委員長になったの?」
路夫「曽根君。」
論子「曽根君ねぇ。まぁそうでしょうね。」
路夫「どうしてそう思うの?成績だって算数意外は僕の方が上だし、声だって大きいから、号令かけたって絶対いいに決ってるし、それに・・・」
論子「わかった。もちろん路夫にも良い所はいっぱいあるわ。じゃあ、曽根君はどんな子だと思う?」
路夫「おとなしくて、あんまり目立たない。でも、すごく真面目で優しいと思う」
論子「どんな所が?」
路夫「掃除当番の時、みんながいやな最後のゴミ捨てを必ずしてくれるし、移動教室の時、荷物の多い子の道具を持ってあげたり、戸を開けて待ってくれたりしてる。」
論子「じゃあ、路夫はどうしてるの?」
路夫「ほうきでチヤンバラしたりして女子に叱られてる・・・・。」
論子「どうも選ばれなかった理由は路夫の方にありそうね。」
路夫「そうかなぁ。あ!そうか!わかった!」
論子「なぜだかわかったの?」
路夫「曽根君てさ、細くって女子には『かわいい』って人気なんだよ。僕はどちらかというとワイルドだからさぁ。女子にはちょっとな。」
論子「えー。気づいたってそこ?」
さてこんな時、論語ではなんていうでしょうか
位無きを患えず、立つ所以を患う。
己を知る莫きを患えず、知らるべきを爲すを求るなり
《解説》
野球やサッカーなどスポーツで、レギュラーに選ばれなかったり、発表会のメンバーに入れなかったりしたら、悔しいし、悲しいよね。
そんな時、『どうして僕じゃないんだよ』ってクヨクヨ考えたりしませんか?
選ばれるには選ばれる理由があり、同じように選ばれないには選ばれない理由があります。
人をうらやましがって、いつまでも落ち込んでいても何も変りません。それどころか、ますます差が開いていくばっかりです。
それよりも、なぜ自分が選ばれなかったのかをよく考えて、次ぎは認めてもらえるようにがんばって努力すればいいのです。