路夫君が友達の友君とリビングで一緒に宿題をしながら何か話をしています。
路夫「今日は忘れずに宿題して行かなくちゃ」
友則「そうだねぇ。今日の先生さ、とっても残念そうだったものね。」
路夫「でもさ、僕たち三組でよかったよね」
友則「そうだね。一組の子達は宿題忘れたら大変だよね。大雷が三組まで聞こえるほど怒られてるもの。」
路夫「ねぇ友君。聞いたことある?一組の子たちさ、怒られるのが怖いから、宿題してきた子のノートを、朝みんなで写しっこしてるんだって。」
友則「えー。それじゃ宿題にならないじゃん。」
論子「何の話?」
路夫「一組の先生が怖いって話だよ。すごくきびしくてみんなビクビクしてるんだ。」
友則「だから、ともかくみんな怒られないようにいろいろ言い訳を考えたりしてるの。」
論子「ところで路夫、あなた友君と違う宿題してるのね。」
路夫「これは・・・昨日の宿題なんだ」
論子「あら、昨日宿題無かったんじゃないの?」
路夫「あったんだけど、忘れていったの。」
論子「先生に叱られたんじゃない?」
路夫「叱られなかった。『何でできなかったの?』って聞かれた。」
路夫「だから学校から帰ってすぐ遊んで、ご飯食べて、お風呂入って、テレビ見てたら寝ちゃったって言った。」
論子「先生よく許してくれたわね」
路夫「そしたら先生が、今日の分と二日分、大変だけどやってらっしゃいって。」
「その日習ったことの復習が宿題だから、自分でちゃんとすることが大切なんだよって言われた」
友則「あんな風に言われるとちゃんと宿題しなきゃって思うよね。叱られてばかりだとやる気無くしちゃう。」
論子「あぁ・・北風と太陽作戦って感じね」
路夫「何?それ。」
論子「いいの、お母さんの独り言よ。」
さてこんな時、論語では何というでしょうか
之を道びくに政を以てし、之を齊うるに
刑を以てすれば、民免れて恥ずること無し。
之を道くに德を以てし、之を齊うるに禮を以
てすれば、恥ずる有りて且つ格し。
〈伊與田先生訳〉
政令や法律だけで国を治め、刑罰によって統制すれば、民は要領よく免れて何ら恥じることがなくなる。道徳を基本として国を治め、礼(習慣的規範)によって統制すれば自ら省みて過ちを恥じ自ら正していくようになる
《解説》
約束した事をちょっと出来なかったり、決まりを破ってしまった時。『失敗したな』と心の中で反省していても中々すぐに言われた通りにできなかったりする事あるよね。
その時に『次出来なかったら「罰」を加える』って言われて、だけどまた出来なかったらどうしますか?廊下に立たされたり、お家だったら『おやつ抜き』とか『お小遣いを減らす』とか言われたら。ともかくその時だけを何とかしようって考えたりしない?でもそれでは何の解決にもならないよね。本当にしなきゃならない事は別にある。お友達に対しても同じです。約束や、決まりごとを守ってくれなくてすごく嫌な思いをする事があっても、相手がわかるようにやさしい心で接して話しをすれば、相手の子は自分で考えて反省して、次からは約束や決まりごとを守ってくれると思います。なぜって本人も『悪かったな』って心中では反省しているはずだからね。