論子「路夫、どうしたの?ハンバーグ大好物じゃない。」
路夫「あんまり食べたくない。」
論子「学校で何かあった?」
路夫「・・・・・」
論子「何があったか知らないけど、お母さんに話してみない?」
路夫「今日さ、友君が理科の実験道具 を運んでて落として壊しちゃったんだ。」
論子「まぁ、友君、けがしなかった?」
路夫「それは大丈夫だったんだけど。先生が凄く怒ったの。五年生にもなって不注意だって。ふざけてたんだろうって。」
論子「そうなの。」
路夫「でも、そうじゃ無いんだ。」
論子「どう言う意味?」
路夫「あのね。友君が階段を登っていた時に陽君たちが『わっ!』って脅かしたの。」
論子「それで?」
路夫「それで驚いて落としちゃったんだけど、陽君たちもまさかそんなことになるなんて思っていなかったから逃げちゃったの。」
論子「あなたはどうしてたの?」
路夫「僕は二階の踊り場で見てたんだけど・・・・・・・・・。それ先生に言えなかった・・。」
論子「どうして?」
路夫「だって、あの陽君たちだよ?後からどんな仕返しをされるか分からないよ。」
論子「その事、友君は知っているの?」
路夫「僕の事も、誰がおどかしたかも知らないと思う。」
論子「それで食欲がないのね。」
論子「路夫は本当はどうしたかったの?」
路夫「僕・・・・。」
路夫「僕、明日学校に行ったら先生に本当のこと話す!だってこのままだと友君が全部悪いことになっちゃうもの。」
論子「そう。それがいいわね。 さぁ、ハンバーグ、早く食べないと冷めちゃうわよ。」
さてこんな時、論語では何というでしょうか。
義を見て為さざるは勇無きなり
為政第二 (仮名論語)22頁
《解説》
ほんとうの勇気って何だと思いますか。
それはけんかに強いとか、めちゃくちゃに向かって行くとかではないよね。
ほんとうの勇気は、自分の心の中にあって、どちらが正しいか判断して、それをはっきり行動に移せることです。心では正しいと思っていても、頭が色々なことを考えて行動に移せない事って多いよね。でも心の判断と違った事をすると後で自分がいやになったりしませんか?
間違った事をそのままにしておくことは、自分もその間違ったことをしたのと同じです。