夏休み、路夫君は家族でお母さんの実家に里帰りしています。山と海に囲まれた静かな所で自然がいっぱい。路夫君は虫取りや魚釣りができると大興奮です。
路夫「お兄ちゃん見て見て!堤防の下に魚が見えるよ!」
学 「おじいちゃんの家で釣竿を借りてきて一緒に釣ろう」
路夫「そうだね。あんなにいっぱいいるんだもの。きっとたくさん釣れるね」
路夫「お母さん、お兄ちゃんと釣りに行って来るね。今日の晩御飯は魚だよ!」
論子「あら、そう。水に落ちないように気をつけてね。」
路夫君と学君が釣りを始めて二時間が過ぎました。
路夫「お兄ちゃん何匹釣れた?」
学 「うーん二匹かな路夫は?」
路夫「まだ一匹。」
路夫「何で釣れないんだろうね。あんなに一杯いるのにさ。これじゃ一人一匹ずつ食べることなんかできやしないよ。」
「そうだ!あんなにいるんだから網かなんかですくっちゃえばいいんじゃない?一回でたくさん取れる。」
学 「それはだめだよ路夫。釣りって魚と人間が命がけの勝負をしているんだよ。釣られたら魚は食べられちゃうんだからね。」
「だから釣りをしている人は、まだ小さい魚は、釣れてもまた川に返したりするんだよ」
路夫「ふーん。」
学 「それに網で取るということは、小さい魚や違う生き物の命も一緒に奪うことにもなるだろ。」
路夫「そうだね。僕そんなことまで考えていなかったよ。」
論子「おかえりなさい。どう?たくさん釣れた?」
路夫「ううん。お兄ちゃんと合わせて三匹」
論子「そう。すごいじゃない。三匹なんて。立派なものよ。」
「さあ、おばあちゃんの所へ行って料理して貰いなさい。自分で苦労して釣った魚の味はきっと最高よ。」
さてこんな時、論語では何て言うでしょうか
子、釣して網せず、弋して宿を射ず(述而第7―26)仮名論語91P
〈伊與田先生訳〉
魚釣りをしても、はえなわは使われなかった。
鳥をいぐるみで射ても、木でやすらかに眠っている寝鳥は射られなかった。
解説
たくさんあって取り放題!で何か思い当たる事ってありますか?そう食べ放題!!。大好物をたくさん食べられるチャンス!とお皿に盛りだくさん。次の人の分が無くなったって知らないよ。と思っていませんか?
それで結局残すことになった経験は無いですか?
人間の胃袋には限度がある。何事にも身の丈にあった適正量があります。
自然に暮らす生き物はその日生きられる分しか狩をしないでしょう。
人間は地球で一番力があると思っていますが、地球は人間だけのものでは無いよね。
人間は他のさまざまな命を貰って生きています。『後の事は知らないよ』と自分の都合ばかり考えて、好き放題するのは力がある強い者のすることではありません。弱いものを思いやって、全てのものが一緒に生きられるように大切にして行きたいですね。