夕方の家の近く、学校帰りの路夫君がしょんぼりしています。そこへ兄の学君が帰ってきました。
学 「路夫、何してるの。家に帰らないのか?」
路夫「お兄ちゃん・・・・。」
学 「どうした?泣きそうな顔して」
路夫「友君とけんかした。でも、僕は悪くないんだ!友君があんまりできないからさ、ちょっと言っただけなんだ。そしたら友君怒っちゃって。」
学 「友則君は何ができないんだ?」
路夫「縄とび。来週の木曜日に体育で縄とびのテストがあるんだよ。二重とびと交差してとぶのと駆け足とび。」
学 「それは大変だ。たしか友則君は体育が相当苦手だったよね。」
路夫「そう。でさ、クラスのみんなが友君のこと『友則またきっと出来ない』とか言ってるの聞いてさ、僕くやしくって。だから、毎日放課後に特訓してたんだけど。」
学 「それで?」
路夫「もう5日も練習しているのに、なかなかできないもんだからさ。昨日『なんで出来ないんだよ。やる気あるの!』って言っちゃって。」
学 「ふーん。それから?」
路夫「そしたら友君、ぷいっと帰っちゃってさ。今日、『またする?』って聞いたんだけど先に帰っちゃったんだ。もう!友君が出来ないから僕が頑張ってるのに!」
学 「路夫、路夫は友則君と幼稚園の時から大の仲良しだよね。だから友則君がみんなにバカにされるのがくやしくて友則君を特訓したのはわかるよ。でもね、仲良しだからって路夫が熱くなって色々言うことが、友則君にはだんだん重荷になって、路夫の事までいやになっちゃったんじゃないかな。」
学 「仲良しでも、言っていい事や、していい事には限度ってものがあるんだよ。明日友則君に言い過ぎた事あやまりな。」
路夫「うん。わかった。僕、今すぐ友君の家に謝りに行ってくる。お兄ちゃんランドセル家に持っていっておいて!」
さてこんな時、論語ではなんていうでしょうか
『朋友に數すれば、斯に疏んぜらる』
《伊與田先生 訳》
友達に対してしつこく忠告をすると、嫌われうとんぜられるようになるものだ
《解説》
仲良しの友達はいますか?仲が良いといつもいっしょにいて、まるで自分と同じみたいに感じることはありませんか?
その子がうれしかったら自分もうれしい。逆につらい目にあってたら、いっしょに悲しかったり怒ったり。そんな友達がいるといいよね。
だから、もしその友達が何か間違った事をしたり、出来ないことがあったりしたら、ちょっとだまってられないよね。一所懸命注意したり、教えてあげようとするでしょ。
でも、あんまり何度もしつこくしたら、相手だって『いや』になっちゃう。『わかってるんだってば!』って心の中で叫んでいても
『友達のため』と思っている君には中々言い出せないし、気持ちを伝えられない。それで君のこともいやになってしまう時があるんだよ。
そんな時はちょっと考えてみよう。『今、自分の言っている事を、自分が言われたらどう思うか。』ね。