貢さんが仕事を終えて帰って来たところ、玄関の前に誰かが立っています。どうも論子さんのようですが、もう一人女の人が・・・。

貢 「ただいま。どうしたんだい?」

論子「路夫がまだ帰ってこないの。」

貢 「あの人は誰だい。知り合い?」

論子「友則君のおかあさん。電話で聞いてみたら友則君も帰ってないって。どうも二人いっしょらしいのよ。」

 

貢 「もう八時になるよ。出かける時どこへ行くか言っていかなかったのかい?」

論子「なにか欲しい本があるから、本屋さんへ行くって言って出かけたんだけど。」

貢 「本屋なら駅前にあるから、こんなに遅くなることは無いだろう?本屋さんに聞いてみたのかい?」

論子「聞きに行って見たんだけど、夕方来て、何も買わずに帰ったって。何かあったんじゃないかしら。こんな事今まで一度も無かったことよ。」

貢 「あっ、あの二人、路夫たちじゃないのかい?」

 

 

 

路夫「ただいま・・。遅くなってごめんなさい・・・。」

論子「まったく!今何時だと思っているの!」

貢 「まぁ。無事に帰って来たんだから。でも、こんな遅くまで何をしてたんだい?」

路夫「欲しい本があって、駅前の本屋さんに行ったんだけど無かったから、相談して大きな街の本屋さんに探しにいったんだ。それが、なかなか無くて、いくつか本屋さんに行って、見つかったんだけど思ったより高くて、お金が無くなって。」

友則「二人で合わせても、バス代が一人分にしかならなくて。僕、お金そんなに持って無かったから。そうしたら路夫君がいっしょに歩いて帰ろうって言ってくれて。歩いて帰って来たんです。」

貢 「そうか大変だったね。」

論子「もう!どんなに心配したと思ってるの!二人とも!」

貢 「そんな時は一度、家に電話すればよかったんだよ。そうすれば迎えに行く事だって出来たし。連絡が無いとみんな心配するだろう。」

路夫「もうちょっと早く帰れると思ったんだ。心配かけてごめんなさい。」

さてこんな時、論語では何というでしょうか。

 

 

 『父母在せば、遠く遊ばず。游ぶこと必ず方あり。』

 

 

《伊與田先生 訳》

 父母が生きているうちはあまり遠くへ旅しない方がよい。やむを得ず旅に出たときは、父母に心配かけないように心掛けることだ

 

《解説》

友達と出かけるって楽しいよね。その時はお家の人に『行き先』や『何をするか』を言って出かけていますか?『自由』である事は同時に『責任』と『危険』を持つことです。

  大人といっしょなら大人がしてくれる事を自分たちの考えや判断でする事になります。遊んでいるとだんだん面白くなって予定と違う行動や、場所に行ってしまったりする事あるよね。自分たちでは『これくらい大丈夫』と思う事でも君たちの姿が見えないと、お家の人は『何をしているんだろう』と不安になります。

  どこかに行く時は『誰』と『どこで』『何をするか』を、ちゃんと言ってから出かけましょう。もちろん、と中で予定が変ったらそれを知らせる事も大切です。

 お父さん、お母さんは、いつも、いくつになっても子どもの事を心配しています。心配をかけない事は、子どもの『責任』でもあるのです。