お祖父さんの真一さん、今日は朝からそわそわごきげんです。いつもは着ない背広を着こんで、どこかに出かけるようです。
路夫「お祖父ちゃん、どこかに出かけるの?すっごくうれしそうだね。」
真一「路夫か。今日お祖父ちゃんは五十年ぶりで昔の仲間に会うんだよ。」
路夫「えー。五十年ぶり?学校の同窓会かなにかなの?」
真一「似ているけど、ちょっと違うな」
路夫「違うってどう違うの?」
真一「お祖父ちゃんは昔、中学校を出てすぐに木工職人の家に修行に入ったんだ。」
「そこにはお祖父ちゃん以外に同じ年頃の弟子が三人位いて。毎日いっしょに暮らしながら修行をしていたんだよ。」
路夫「いっしょに暮らして?」
真一「住み込みと言って、朝から晩まで一日中、掃除からまき割りなんかの家の手伝いもしながら、昼は木工の仕事を親方から教えてもらっていたんだよ。」
路夫「何だか大変そうだね。」
真一「それで、夜寝るときになって布団の中でみんなと色々な話をして、くじけそうになった時なんかは励まし合ったりしたものさ」
路夫「えー。寝るときもいっしょなの?」
真一「もちろんそうさ。だけど、あの仲間がいたから、お祖父ちゃんは一人前の職人になれたんだよ」
路夫「その人たちと会うの?」
真一「あぁそうだよ。みんないい年になってるだろうけど、いっしょにがんばった仲間と語り合えるなんて、本当に楽しみなんだ。」
路夫「そうか。いっしょに何かしてる仲間って話が通じ合ってたのしいものね。」
真一「さぁ。もう行かないと。少しでも早く会いたいからね。どんなに時間があっても、話はつきないだろうから。」
さてこんな時、論語では何ていうでしょうか。
朋遠方より来る有り、亦楽しからずや
学而第一(「仮名論語」一頁)
《伊與田先生訳》
共に道を学ぼうとして、思いがけなく遠方から同志がやってくるのは、なんと楽しいことではないか
《解説》
学校以外のところで違う事をいっしょにする仲間はいますか?
サマーキャンプやクラブの合宿など、いっしょにご飯を食べたり、協力して何かを行ったりした人とは、強いきずなを感じたりしませんか。
同じ目標に向かって努力している人と、久しぶりに会って、いっしょに話をしたりするのは楽しいよね。
自分の考えや思っていることを話し、お互いに参考にし合って、また頑張る力になるのは、同じように頑張っている仲間だからです。
遠く離れていても、同じことをしている仲間や、同じ考えを共有して勉強している友達と会えることは本当に楽しいことです。
そして、そんな友達は一生の宝ものです。