裏庭の物置のすみでなにやらゴソゴソ動くものが・・・怪しい動き、路夫くん?そこにおじいさんの真一さんが。

真一「だれだ!」

路夫「お、おじいちゃん!」

真一「なんだ路夫か。こんなところで何をしてるんだ?」

  「もう夕飯の時間だぞ。」

路夫「わかってる。すぐ行くからおじいちゃん先に行っててよ」

真一「ん?路夫、手に持ってる袋はなんだい?」

路夫「これは・・その・・えーと。」

真一「見せてごらん」

路夫「実はこれ。友君のおばさんにもらった『おいしい卵』なんだけど、途中で落としちゃって。」

真一「割ってしまったのかい?」

路夫「友君の家から帰って来るときに、走ってて、ぶつかりそうになって・・」

真一「それで物置のところに置いておいてどうするつもりだったんだい?」

路夫「明日はお休みだから、スーパーに行って似たような茶色の卵を買ってこようと思ったんだ。だって卵なんてどれでも同じでしょ。いつもあの道の角は危ないから走っちゃダメって言われてるから二重にしかられちゃうよ」

真一「路夫、それはダメだよ。お母さんが恥ずかしい思いをする事になる。だって卵のお礼を直ぐに友則君のお家に電話しないといけないだろう。それにそんな事をするとお母さんがっかりするよ。路夫がうそをついてごまかそうとするなんてって。」

真一「人はだれでも間違いや失敗をするものさ。でもその失敗をどうするかが一番の問題なんだ。間違ったらすぐに謝る。それが次のいい一歩につながるんだよ。」

路夫「そうか。じゃあこの卵おかあさんに渡して、友君のお母さんにも謝るよ。」

真一「ところでいくつ割ったんだい?」

路夫「二十個全部。」

真一「こりゃ当分卵料理だな。」

路夫「いいよ、僕オムレツも卵焼きもだーい好きだもん。」

さて、こんな時論語では何ていうでしょうか。

 

 

過てば則ち改むるに憚ること勿れ。

        仮名論語 學而第一

解説

 失敗や間違いは、どんな人でもおこすものです。自分では正しいと思っていたことが、途中で間違ったことに気づいて、でも中々言い出せないことも。

 そんな時、直ぐに間違いを認めて謝ってしまいましょう。『ごめんなさい』とか『まちがいました』は実は心を軽くする魔法の言葉でもあります。

 ずっと間違ったままにしていると問題はどんどん大きくなっていってしまうものです。

 素直に間違いを正すことをだれもダメだという人はいませんよ。